■種明かし■

マジックは、どの本を見ても「種明かしをしてはいけない」と書かれています。
でも、その根拠を納得できるような形で提示している書籍は少ないかもしれません。ただ漠然と「マジックのタネはばらしてはいけないのだ」とされてきていると思います。そこで、おいらが考える種明かしについて書いてみようと思います。

なぜ種明かしをしてはいけないのか。それは「見る人の楽しみを奪わないため」だ、と考えています。
マジシャン同士の守秘義務だとか、知的財産だとか、そういうことじゃありません。

マジックをしてると「あ!それ知ってるよ。アレがこーしてこーなってんるんだぜ!」と得意げになる子供(大人含む)に遭遇した事はありませんでしょうか。それを知っている自分を周りにアピール・誇示するわけです。

ここで許せないのは、自分がやるマジックの邪魔をされた事なんてことではなく、なんの権利があってその場にいる人たちの楽しみを奪うことができるのか?ということです。
これは自分が観客の立場であっても変わりません。横にいる人がこういう事を言い出したらすっごく腹が立つし、出てってくれとさえ言うかもしれません。

種明かしで恐れるべきところは、こういうことだと思うのです。全く無神経に他人の楽しみを奪う人が少なからずいるのです。こういう人はその後も同じように他人の楽しみごとを奪い続けるでしょう。そういった人々に、マジックの秘密を手渡さないため「むやみにタネを教えるわけにいかない」のです。

では、そういう事をしない人だったら種明かししていいのかよ?と思う人もいるでしょう。答えは「していい」と思ってます。誰にも種明かしをしないわけじゃないんです。そういった他人の楽しみを奪わないと約束できる人にならいくらでも種を教えてあげてもいいと思ってます。


かつて聞いたことのある話。

とあるマジックサークルに来るおじさま。十数人が講師のもとで一生懸命練習する中、その人は椅子に座って見てるだけだそうな。ずーっと。「一緒にやりませんか?」と誘っても「いやー私は不器用なのでいいです」とそんな感じらしい。
この人は何なのかというと「タネを知りたいだけ」の人だそうです。お金払ってまでマジックサークルに来ているのに。
この方は、たいへんお行儀よく、大人しく見ては帰るそうな。それで満足なんだそうです。じゃ、それをよそでバラしまくるかと言えばそんなこともないわけです。ああ、そんな楽しみ方もあるのね、と思いました。それを受け入れているサークルもすげーなとは思いましたが。

04/03/22 加筆修正


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